スナックミー社のライター 可数なつ さんが紡ぎ出す日常。生活のなかで見つけた「リアル」や「リアルではないもの」をテーマに言葉を綴ります。snaq.meのおやつを召し上がりながら読んでいただき、さまざまな“リアル”を感じていただけますと幸いです。
2019.8
玄関前の外廊下。自分の部屋まであと一歩のところでミーンミンミンと鳴かれてしまうと帰れなくなる。追い払うのも怖いし、こっちに飛んできたらもっと嫌。
そんな怖い思いするくらいならと、もう一度暑い日差しの中へ。焦げるような日差しの中、喜んでせみを取りに行っていたのは昔のこと。今は晴天を喜ぶ前に、まずは日焼けの心配。あの時、せみを怖がらせていたのは私の方か…
日傘をさしながら歩いていると、かき氷をやってる喫茶店を発見。赤でも青でも黄色でもなく、抹茶色のかき氷を注文。せみのことが怖くなって、宇治金時の美味しさがわかるようになったのはいつからだろう。
あの夏もこの夏も、せみの鳴き声だけは変わらないから、夏は昔をよく思い出す。そのせいか、子どもの自分と大人の自分を比べることも多い気がする。今はこの宇治金時がおいしいから、玄関前のあのせみは許してあげる。