スナックミー社のライター 可数なつ さんが紡ぎ出す日常。生活のなかで見つけた「リアル」や「リアルではないもの」をテーマに、言葉を綴ります。snaq.meのおやつを食べながら読んでいただき、様々な“リアル”を感じていただけると幸いです。
2019.05
手紙の書き出しって難しい。友人から手紙が届いて、嬉しくて、返事を書こうと思ったものの、とりあえず書き出しの一行をあけたところで手が止まる。普段スマホやパソコンを使うことが多いせいか字は汚くなった気がするし、怒られるわけじゃないのに漢字を間違えそうで、書き出しが億劫になる。
かしこまるつもりもないのに、スマホで時候の挨拶やら書き方やら調べたりしていると、このままスマホで「手紙ありがとう」とメッセージを送ればいいかな、とか考えたりして。いやいや、と白紙の便せんとにらめっこ。
送られてきた手紙もこんな風に書かれたんだろうか。こんな風に机の上でにらめっこさせられたのかな。私のために書き出しに手を止めてくれたとしてたら、なんか嬉しい。いい加減な気持ちなら、書き出しで止まらないから。
言葉で伝える前に、こんな風に相手のことを考える時間があるのって、手紙くらいかも。その人のことゆっくり考えていたら、字が汚いとか漢字間違いとかは二の次で、伝えたい言葉を早く書きたくて、書き出しに一行あけるのを忘れてしまった。