スナックミー社のライター 可数なつ さんが紡ぎ出す日常。生活のなかで見つけた「リアル」や「リアルではないもの」をテーマに、言葉を綴ります。snaq.meのおやつを食べながら読んでいただき、様々な“リアル”を感じていただけると幸いです。
2019.04
好きな本だけを並べたリビングの小さな本棚に、フェイクグリーンのサボテン。本と本の間の小さな陶器に入った成長しないそのサボテンは、いつからそこに置いていたのか忘れてしまったけれど、私の大切な空間の一部、でした。
いま、そこには生花の一輪挿しを飾っています。花屋で見つけた小さな黄色い花弁を連ねる花がかわいくて、その日から本棚には一輪挿しが咲くようになりました。
隣りあう本と本の縦のレイアウトに、日々変化する生花の自由な形、その香り。お気に入りの本棚の表情を毎日変えてくれる。水をかえてあげなければならない弱々しさ、しおれかけてもまた花開く力強さが愛おしくて、本棚が生きものになったみたい。
一輪挿しは、リビングで過ごす時間をちょっとだけ鮮やかにしてくれました。だけど、フェイクグリーンのサボテンは簡単には捨てられなくて、いまは玄関のインテリアに。いいことがあったりして優しい気持ちになれたとき、何やってんだろと思いながら、窓の近くで日に当ててあげたりしています。