スナックミー社のライター 可数なつ さんが紡ぎ出す日常。生活のなかで見つけた「リアル」や「リアルではないもの」をテーマに、言葉を綴ります。snaq.meのおやつを食べながら読んでいただき、様々な“リアル”を感じていただけると幸いです。
2019.01
1月の帰り道、自動販売機でコーンスープ缶を買いました。手袋をはずして手を少し温めたあと、飲み口を開けようとした瞬間、思わず手を止めました。「よく振ってからお飲みください。」危うくコーンの粒を缶の底に沈めたまま開けてしまうところでした。
それでもスープを飲みおわる頃には、まだコーンの粒は缶の底に残っています。すすったり缶を軽く振ったりして、なんとか缶の中のコーンの粒を食べようとすること。コーンスープ缶を飲むときにしかしないこの行動をすると、本当に冬が来たと感じます。「ちいさい秋みつけた」という童謡がありますが、缶の中のコーンの粒は、私がみつけた“ちいさい冬”。
コーンの粒を少しづつ食べながら、“おおきい冬”はなんだろうと考えていました。すぐに思いついたのはオリオン座。冬の夜、いいことがあった帰り道も、くやしいことがあった帰り道も、丸めた背中を伸ばして空を見上げると、いつもオリオン座が構えています。見えない日は雲の向こうに。
道も細くなる帰り道の終わり頃、人目のないことをいいことに、“ちいさい冬”を一粒でも残すまいと口を大きく上に向けて缶をポンポン叩いていたら、“おおきい冬”と目が合いました。